デザインは「センス」ではなく「ロジック」。初心者にオススメの(web)デザインスキルを向上させる方法のいくつかをまとめてみた。
webデザイナーをしばらくやっていると同僚やクライアントから「私にはデザインセンスがないから」とか「絵が上手くないから画像作ったりするのは無理」とか、そういうぼやき(愚痴?)を一言二言、話の合間に言われることがそこそこあります。
多くのデザイナーが共感してくれると思いますが、大抵のデザイナーは持って生まれた特別なデザインセンスなんて持ち合わせてはいません。
そこんとこ交えつつ、初心者がデザインスキルを向上させる方法をまとめていこうかと思います。
大前提として大事なのは「見た目」ではなく「見た人が感じる印象」と「デザインする目的との一致」
昔、日本人だったらだれでも知っているスポーツイベントのwebサイトリニューアルの相談依頼がきました。
サイトは既にあり、見た目もかっこよかったので、そんなに日数が経過していなかったので、もうリニューアルするのか!と思っていましたが、話を聞くと意外な理由でした。
担当者いわく「こんなストイックな感じを目指していない。目指しているのは開催地の住民含めてイベントに参加するようなサイトにしたい」ということでした。
当時、話を聞いた時に「あーデザインした人やらかしたなー」と思いました。 後日、リニューアルサイトを提出すると、担当者は大満足の内容でした。 (ちなみにリニューアルデザインはメインで担当しませんでしたが、いくつかのコンテンツには関わりました。いい思い出です。)
こんな感じで、どんなに見た目がキレイでカッコよくできていても、そのデザインをつくる目的とあっていなければ、ほとんど意味がないんです。 webデザインに限らずですが、大前提としてここを間違えてしまうと、頑張ってゴミをつくることになるので、気をつけましょう。
デザインは「センス」ではなく「ロジック」
一般的にデザイナーの印象は「なんかよくわからないけどズゴいアイディアを出せて、感性がすぐれている、センスがよくて、おしゃれで、見たことないけど多分絵が上手な人」とか概ねこんな感じじゃないかなと思います。
この「センスがいい」的な言い回し、個人的好きではなくて、ちょっとイラっとします。
何故かというと、デザインを作っていく上で必要なのは「センス」ではなく「なぜ、そういうデザインにしたのかという理由・論理」つまり「ロジック」が必要だからです。
さっきのリニューアルの話で「ストイックな感じ」という言葉がでましたが、これはおそらく「スポーツのイベント = アスリート」みたいなところから、デザイナーがアスリートのストイックな部分を前面に出したデザインにしたほうがよいと思ったんだと推測できます。
このデザインはモノトーンをベースとしていて、使われている写真などもあえて彩度をなくした白黒のものが使われていたため、サイトを見た人はアスリートの「ストイックさ」から関連するイメージから、「このイベントは結構ガチな感じなんだな」という印象を間違いなく受けたと思います。
一方リニューアル後のデザイン「開催地の住民含めてイベントに参加するようなかんじ」という目的に合うように「スポーツのイベント = たのしく、にぎやか」な印象をうけるようにすることで、開催地の住民も含めたたのしいイベントになると考えて、配色など一新して、かなり明るいかんじになりました。
このデザインは、赤や黄色の色をテーマの色として使用することで全体的に明るい印象になり、イラストや丸みのある模様などで、たのしさやにぎやかさを演出することができていました。
リニューアルしたサイトを見た人も「たのしさ、にぎやかさ」から関連するイメージで「このイベントはワイワイたのしくて、にぎやかなイベントなんだな」と思ったと思います。
こんなかんじで、持って生まれたセンスではなく、人間が見た目から受ける印象や感情などを理解し紐解いた上で、目指しているとこをへ促すことが求められます。
なんとなくで、色や形を決めているように見えますが、ロジカルに考えて適切な手法などを検討していって最終的にデザイン しているので、こういう部分は認知されていないんじゃないかなと思います。
インプットを増やすことで自分の中の引き出しを増やす
よく言われる話なので、よく聞くワードだと思いますが「インプット」を増やすといろいろいろなデザインに触れることができるので、配色や文字の使い方などの手法を知ることができます。
なにも見ずに自分でつくるとどうしてもうまくいかなかったり、時間がかかったりするので、既にあるデザインなどを事前に見たり、必要な時に調べたりすることはオススメです。
ただ、注意してほしいのは、ただ漠然と眺めて、「あーきれいだなー」「かっこいいなー」と思うだけでは意味ないです。
なぜ「キレイだと思ったのか」「なぜかっこいいと思ったのか」を紐解いていくことが必要です。
紐解いていくうちに、色の使い方、フォントの選び方、配置の仕方、写真の使い方などなど…いろいろと見えてくる部分があると思います。
そういう部分まで深く探りながらインプットを増やしていくと、徐々にスキルが身についていくと思います。
アウトプットすることで、デザインする行為を体に覚えこませる
ちょっと上手く言えませんが「体に覚えこませる」というのは「慣れる」とか「自然にできるようになる」とかそういうことだと思ってください。
インプットがやたらめったら多くて、アウトプットできていないと、実際思い通りのデザインはできません。
この感覚はスポーツに似ていて、サッカーや野球などの知識をどんなに得ても、実際にやらないと思い通りのプレーができないのと同じで、デザインも自分でやってみることが大事です。
結構多いですが、「デザインのスキルを身につけたい!」と言っている人に限ってアウトプットが全くと言っていいほどありません。 しのごの言わずにアウトプットすることをオススメします。
初めのうちは誰かに見せる必要はあまりないと思うので、アウトプットをたくさんしてみてください。
誰かに感想をもらうことで、さらにレベルアップ
つくりっぱなしだと、作ったデザインがいいのか悪いのかなんとなくでしかわからないので、誰かにみてもらい、感想をもらうと自分が意図したデザインとあっているか、そのデザインをみてどう感じたかを他人の目から見た状態で判断してもらいましょう。
この場合、自分の中で明確なデザインする目的がないと感想をもらっても「きれい」とか「かっこいい」だけになってしまうので、何かしら目的が必要になります。
一番わかりやすいのは今あるサイトなどを自分でリニューアルするんだったらこういう風にする、リニューアルの理由はこうこうで…みたいなものを考えておいてデザインするといいでしょう。
話題になった2020年の東京オリンピックのロゴをデザインするんだったら、とか面白くていいですね。みてくれる人も興味持ってくれると思いますよ。
もらった感想をもとに、さらにいいものを目指す
ここまでできたらいいですが、感想などをもらったら、その感想をもとにさらにデザイアをブラッシュアップしていきましょう。
ブラッシュアップは細部を少し変更して、より精度を高めるというのでもいいですし、内容によってはまるっと作り直すというのでもいいと思います。
ようするに、感想をもらったデザインを超えていればOKです。
一度つくったものを変更するのはなかなか面倒くさいですし大変なので、最初は結構気が重いかもしれませんが、これをやることで、1度自分でつくったデザインを見つめ直し、さらによくなるように試行錯誤することになるので、オススメです。
インプット→アウトプット→批評→ブラッシュアップ。これ実はデザイナーがやる勉強とほぼ同じフロー
いくつかの企業でたまにみかけますが、デザイナーが業務だけでは自身のスキルがなかなか向上しないので、何人かで自主的に集まったりして行う勉強のやりかたとほぼ同じです。
デザイナーなので批評内容も的確だったりして、手抜きがバレるということもあり、本腰入れて取り組めるんですが、この勉強を行うことで、実際スキルは向上するとかしないとか。
デザイナーもバリバリデザインやってますよ!って人とまだアシスタント的な立場なのでなかなかデザインできないという人もいるので、そういった人へのフォローとかにも役立っているようです。
実際デザイナーがやっている勉強のやり方なので、効果あると思います!
さいごに
よくある誤解から勉強法をまとめてみました。
主にデザインの話(コーディング系はノータッチ)を書いてみましたが、こまかいTipsというより、全体的な話を書いています。
明日使える◯◯。とかでもいいですが、すぐ身につくスキルはすぐ使えなくなるかすぐ忘れてしまいます。
自分自身で考え、頑張って試行錯誤することで分かること、見えてくることあると思うので、ぜひがんばってください。